
松田龍平、原田芳雄主演で、9人の脱獄囚の物語なんだけど、この監督、とにかく人物描写とか、状況説明とか、極限まで省くので、一人一人の物語が唐突に始まって、唐突に終わる。でも、だからと言って感情移入が出来ないって訳でもないんだな、これが。冒頭に、松田龍平が父親を殺したときに見る、東京の風景の幻想が映し出されるんだけど、これが見事。建物で埋め尽くされた東京の街の空撮。新宿都心に近づくに連れて、ビルが徐々に消えていく。そして東京タワーにたどり着いたとき、そこは殺伐とした荒野に変わっている。脱獄して、自分の夢を追いかけるもの、楽しかった日々を取り戻そうとするもの、やり残したことを遂げようとするもの、そして、生きていこうとするものと死んでいこうとするもの。9つの魂たちのそれぞれの行き着く先が、唐突に始まり、唐突に終わる。生きている意味などあるのか?という問いかけが全編を貫いているように見えた。9人のそれぞれの魂が、迷い、出会い、寄り添おうとして、離れていく。しかし、ラストシーン。それまで9つの魂を運び続けたワゴン車のクラクションの音が、唯一つ残った魂を救うかのように鳴り響く。無常の中の救済。失われた絆の再生。開けられた扉。そして本当のラスト。そこに行けばあるはずだった、希望を捜し求めたあの校庭に降り立つ9人。そこに見えたあの雄大な山は、彼らに何を見せ、何を思わせ、何を変えたのだろう。9つの魂が、それぞれたどり着いた先は、決してハッピーエンドではなかったけれど、それでも、絶望を抱いて死んだわけじゃない。ただ一人、絶望のうちに死のうとした彼さえも、あの校庭で手に入れた、何でも開ける魔法の鍵で、扉を開いた。そのラストには、開放感も充足感もないけれど、それでも、開かれた扉と、射しこんだ光に違う未来の希望を抱かずにはいられなかった。 |
| ネタバレしてます。映画見てから読んでね このストレートすぎるほどストレートなタイトル。この一つの言葉以外に、この映画を表す言葉はない。マチュー・カソヴィッツが描くフランスの若者達。いつもと変わらぬ長い長い一日の果てに待ち受けていた非日常。綱渡りの如く切り抜けてきた彼等の日常が壊れた瞬間、僕は涙を流していた。いや、噴き出したというべきか。 彼等が過ごした一日。その日の始まり、彼等の友人の死がテレビで報じられていた。その日の終わり、彼等は誰にも知られることもなく、何の意味もなく死を迎えた。あんな最期を迎えるのなら、警官の一人でも殺してニュースになっていた方がなんて考えてしまうほど”憎しみ”という言葉の持つ負のイメージがそのまま焼き付いている。モノクロの映像で客観的に綴られていく、底辺に生きる人々のどうしようもない生活と、行き場の無い未来。余りに理不尽で、でも、この街では、あの三人は三人で生きていくしかなくて、分かれられなくて・・・それでも、なんとかあそこで生きていたのに殺されて。泣き叫びたくなる。 |
15年位前、ビデオではじめてリリースされた位のときに見て以来だな。とても面白かった記憶があったので、中古ビデオで300円で売られていたのを買ってきました。いやー、やっぱり素晴らしいよ!リチャード・ドレイファスが、競馬狂のタクシードライバーで、同僚が客の会話を録音したテープにイカサマの競馬情報を得て、それを信じて馬券を買ったら、見事大当たり!それから彼の信じられないほどのツキが始まった・・・。1億円の宝くじが当たったらなぁ〜とか、100万馬券とか当ててみたいなぁ〜とか、たった一日でいいから、夢のような一日をくださいとか、そういう願いって誰もがするけど、本当にそのツキに恵まれることは少ないし、本当に現実になった場合、どんな変化が起きるのかなんて、想像も出来ない。でも、この映画は、その想像も出来ないツキ、神様って本当にいるのかもしれないって思えるほどのツキを手に入れる。それまでの人生がまるっきり変わってしまう一日。最後の大勝負で彼がつぶやく、"I know it."って。全てを手に入れた男を、心の底から羨ましく思い、でも、心の底から共に喜べる。これほど幸せな爽快感に包まれる映画にはそうそう出会えないよ!落ち込んだ時はこの映画が超オススメ! |
