| タイトル | 感想 | 評価 |
| うずまき | 過剰なまでに禍々しい渦が黒渦町を巻いた。増える蝸牛、水路に巻く渦、つむじ風、渦を巻いて昇る火葬場の煙。渦に取り憑かれた人たちは、目を左右別々にぐるぐる回し、髪の毛はカールに巻き、螺旋階段から飛び降りる。窯で過熱された皿や壺は渦紋を浮かべ、渦に呪われた夫人は指紋、つむじ、耳の中の蝸牛までも・・・。渦の災禍は黒渦町の過去に由来していたが、6669のナンバーの車に乗った過客が気づいた時はすでに遅し。渦中の町は渦に巻かれてぐるぐるぐるぐる。町の人たちはうずうずうずうず。過敏な人たちからぐるぐる渦に取り憑かれ、禍根を絶つことは出来ぬ。最早、その渦から逃れること叶わぬ。そして・・・ほら僕も巻かれた。 | ★★★☆ |
| 押切 | パラレルゾーンに居る自分が、もし殺人鬼だったら?伊藤潤二の漫画でなら、この話はとっても怖いんだろうなぁ。映像にしてしまうとこんなにダメなんだけどさ。日本人って、鎌とか持っても全然怖くないよね。やっぱ農耕民族なんだよなぁ。何かを殺して生きてきた民族じゃないから、そういう武器を持つ姿が似合わないんだろうな。だから呪いとか、祟りとか、精神的に襲い来る恐怖が怖いんだろう。伊藤潤二のキャラクターってどことなしに日本人じゃない人形っぽさがあるから、武器とか、凶器を振りかざす姿が絵になるんだよ。押切を演じた徳山秀典は、まぁ許せるんだけど、監督だな。チラシを観ると、ティム・バートンが好きな人は・・・とか書いてるけど、ふざけんなっ!これの何処がバートンやねん。全く・・・ | ★★ |
| 首吊り気球 | う〜っむ、伊藤潤二の漫画で読むから面白い話なんだろうなぁ・・・3話から成るオムニバスビデオムービーなんだけど、どれも漫画の世界をそのまま映像化するのに捕らわれるあまり、全然実写で観る意味を失ってしまっている。 「悪魔の理論」こんな、いくらでもオカルト色を強く出せる話なのに、これじゃあただの学園ドラマじゃん。その理論に何の必然性も感じられないし、まぁつまんないの一言だね。 「屋根裏の髪の毛」う゛ーん、”あなたの知らない世界”じゃないんだからさぁ。あまりと言えば余りにベタな幽霊話。よく言えばオーソドックスな。悪く言えば類似品多数の恨み節。 「首吊り気球」もう、伊藤潤二の想像力には舌を巻くばかりのストーリー。自分と同じ顔をした気球が、自分と同じ顔を探し求め空を舞い、見つけると首をつって浮かび上がる。どこからそんな発送が出るんだろう?しかも、何故それが現れたとか、なんの理由もない。徹底的にシュールな怪異譚。映像としてはこの3つのうちではまだ観れるんだけど、これは長編にブロウアップして欲しかったなぁ。いくらでも広げられる話じゃん。アッという間にオチ付けちゃって・・・ラストシーン、実写であそこまで作ったのだけが凄いかも・・・ | ★☆ |
| 死びとの恋わずらい | 松田龍平って時々ホントに美少年に見えるんだけど、多分、自分がどの角度から撮られれば一番美しいか、全く把握してないんだろうな。演技力もないしね・・・でも、この映画はそれなりに観れたと思う。原作を読んでいないので、果たしてオチがあれでいいのか、非常に疑問ではあるが、まぁ、あのラストにしたからこそ、ありがちなホラーではない映画として印象に残ったんだろうな。はじめは、タイトルから、誰かが死んで、幽霊となって現世の人を慕う物語なんだろうと想像していたら、その通り、それは松田龍平の事だと分かる。だけど、主人公の少女のお母さんの異常な行動や、不可解な現象、徐々に明らかになる過去の人間関係が、今一つはっきりと繋がらないので、凄い違和感を覚える。それが全部繋がったと思った瞬間、映画は更に次のオチへとなだれ込む。これにはホントに驚いけど、少し呆れたのも確か。あまりに唐突な展開だし、それはある意味、反則なのでは?と思えるほどだからだ。まぁ、そのお陰で忘れがたい映画になってるのは確かなんだけどね。 | ★★☆ |
| 富江 | ||
| 富江Replay | ああ、やっぱりな。予告編が出来過ぎてるんだよ。この人の原作の映画はいつも。で、肩すかしを食らうんだよなぁ。これもそう。予告編で美味しいシーンは出尽くしてしまっていて、それがストーリーの中に組み込まれているだけ。なんの発展もない。せっかくの富江というキャラクターの正体がはっきりしてこそ、恐怖が生まれるのに、富江が出てくるまで長すぎるんだよなぁ。人間ドラマとしての側面を深めたいのは分かるけど、主人公は飽くまで富江でしょ?何で彼女のキャラクターを掘り下げなかったんだろう?リングは、0で貞子を完璧なキャラクターに仕立て上げた。少なくとも富江は、貞子よりも恐ろしいキャラクターになるはずだ。貞子よりも更に得体の知れない存在。死にきれない者の怨念。なんでそれが2作も撮って出ないんだろうなぁ・・・ | ★☆ |
| 長い夢 | うわぁ〜目眩がするほど夢を見れなくなる。Higuchinski監督は、”うずまき”といい、この映画といい、伊藤潤二の世界を完璧に映像化することに固執しつつ、ちゃんと自分の映像にしているところが凄い。もしも、一晩に見る夢が1日、1週間、1ヶ月、1年・・・もしも100年の夢を見たら人はどうなるのか。この物語が提示するそんな疑問は、見事なまでに、消えない不安を僕の心に植え付けてしまった。夢の中で100年の体験をする。やがて夢が現実を凌駕し、現実に夢を持ち込んでいく。そして、100年の経験を繰り返した脳はどうなるのか。伊藤潤二の考えることはほんとうに恐ろしく、消えない不安を抱かせる。 | ★★★☆ |
| 赤んぼ少女 | 楳図かずおの代表作「赤んぼ少女」を、「地獄甲子園」の監督が映画化すると聞いたときは、きっとナンセンスなコメディタッチの駄作になると確信していた。が、キャストの中にあった「浅野温子」の存在が、もしかしたら、これは真面目に作ってるんじゃないのか?という期待を抱かせた。果たして、出来上がった映画は、期待を遥かに上回る、叙情的雰囲気に溢れた、既成のJホラーとは一線を画す傑作!!いやぁ、びっくりしたよ。日本のホラーで、これほどゴシック的な雰囲気を湛えたオカルトが出来るとは。原作を読んだことがある人は、意外とたくさんいると思うけど、ほとんどの人の期待を裏切らない映画に仕上がっているんじゃないかな?特にあのラストシーンは、楳図かずおが原作なら、当然、こうでなくっちゃ!と思わせる凄まじいシーンで大満足。ヒロインは新人らしいけど、ホラークイーンとして申し分ないし、怪しげな女中役の生田悦子ははまりすぎでしょ。存在だけで怖いって、今の日本にもこういう女優がいたんだなぁ。それに、なんといっても、浅野温子の怪演!トレンディ女優と呼ばれた頃の面影は全くなし!浅野温子がそんな演技しちゃっていいの?!って心配になるくらい、彼女に対するイメージを180度変えてしまうような演技でした。70年代の「サスペリア」や「ザ・ショック」といったイタリアンホラー、E.A.ポー原作の「恐怖の振り子」や「赤死病の仮面」へのオマージュと思われるシーンも数多く見られたし、大満足。何より、楳図かずおのホラーマンガが好きな人には、かなりのオススメですよ。 | ★★★★ |
| おろち | 楳図かずお原作の映画化は、期待はずれのものが多いって言うけど、今年公開された「赤んぼ少女」が、かなりいい出来だった。そして、もう一本の「おろち」、公開後から完成度の高さがネット上で話題になってたのに劇場に見に行けず、なんとかもらえた内覧用DVDで見たんだけど、壮絶で美しい映像に彩られ、そして人間の心の醜さが噴出した傑作に仕上がっていました。これは劇場の大きなスクリーンで見たかったなぁ。それほど、美術的にも細部にまで気を抜かずに作られているし、何より、3人の女優が素晴らしすぎる。29歳を過ぎるとその美貌が醜く崩れていく家系に生まれた姉妹。その姉妹を見守るのは「おろち」という謎の美少女。前半は、幼い姉妹の仲睦まじい様子と、その美しい母親(木村佳乃2役)が謎の狂気に走るまでを描き、後半は、美しく成長した姉妹(木村佳乃・中越典子)の葛藤、そして凄絶な嫉妬が描かれる。その嫉妬たるや、美しく生まれた女性だけが抱く恐れなのか、正視に耐えないほど、恐ろしく、凄まじいものでした。木村佳乃のあからさまな狂気と、中越典子の内に秘めた狂気。おろちの目の前で明らかになっていくそれは、とても21世紀の邦画とは思えないほどの濃密さ。そして、ラスト5分のどんでん返し!!!恥ずかしながら、全く予測できず、あまりの驚きに言葉を失ってしまいました。楳図かずおのコミックは、かなり読んでるし、「おろち」も20年以上前に読んだはずなのに、このどんでん返しは、全く覚えてなかった。でも、このどんでん返しこそが楳図かずおの真骨頂なんだよなぁ。久しぶりに、余りに意外で恐ろしい真実に、鳥肌総立ちでしたよ。オススメ!!! | ★★★★☆ |