| この映画は、ヘンリーという実在の殺人鬼の物語である。 |
| 幼い頃に両親を殺し、10年の間刑務所で暮らしていたが、 |
| 今は、刑務所で知り合った男のところで、その妹と共に3人で暮らしている。 |
| ヘンリーは普通に暮らしているように、他の二人には見えた。 |
| しかし、彼にとって”人を殺す”と言うことは日常生活に組み込まれたプログラムのような物で、 |
| それが普通だった。 |
| この映画の前半、彼が人を殺すシーンは全く出てこない。 |
| ただ、彼が出ていった後の死体が、長回しで映し出されるだけである。 |
| こんなに穏やかに見える男が、本当にこんなに残忍な殺し方をするのか? |
| そんな疑問さえ浮かんでくるほど、画面には突然死体が映し出される。 |
| 物語はやがて、同居している男を巻き込んでいく。 |
| 最初は初めての殺人に戸惑っていたが、やがて快楽に代わり、 |
| 挙げ句の果てに、自分たちの凶行をビデオで撮るようにさえなる。 |
| 男がいくらはしゃごうとも、怯えようとも、ヘンリーは常に表情を変えない。 |
| ヘンリーの心の内が、全く見えてこないのだ。 |
| やがて、男の妹とヘンリーは愛し合う仲になる。(ただ、妹がヘンリーを愛しただけだが) |
| その事が気に入らない兄は、自分の妹さえも、殺してしまおうとする。 |
| 止めにはいるヘンリー。当然のように兄を殺す。 |
| 怯える妹を連れ、二人はそこから逃げ出す。 |
| しかし、ヘンリーの心の内は全く見えない。 |
| そして、物語は、なんの同情心もない最悪の結末を迎える。 |
| 自分に必要が無くなれば、捨てる。 |
| ただ、虫を殺してしまうように、殺す。 |
| ヘンリーが他の殺人鬼と全く異質に見えるのは、そこだ。 |
| 自分の欲求を満たすために人を殺すのではない。 |
| ただ、自分の通る道に、それがあるから排除しただけだ。 |
| なんの感情もなく、ヘンリーは殺し続ける。 |
| それは、本能のままに生きる、本当の人間の姿なのかも知れない。 |