| タイトル | 感想 | 評価 |
| ブラッド・シンプル | コーエン兄弟衝撃のデビュー作。題名とは裏腹に複雑に入り組んだストーリー。しかし、シンプルな構成と展開。その結果浮き上がってくるのは、ストーリーよりも、登場人物たちの心理状態。ただ、心理描写に終始しすぎて、ストーリーの中の人物の位置関係がはっきりしないまま終わってしまったのは残念。しかし、映像の随所にコーエン兄弟らしいこだわりを観ることが出来る。 | ★★☆ |
| 赤ちゃん泥棒 | 巧いなぁ〜、幸せだなぁ〜。現実的な話と、撮っても妙な映画的非現実感と、スピードと、カメラワークと、みんな楽しんで、一つの愛すべき映画に仕上げている。カメラマンは、MIBとかのバリー・ソネンフィルドなんだね。これだけ短い時間の中で、テンポ良くみんなのキャラが立ったってのは、凄いなぁ。 | ★★★☆ |
| ミラーズ・クロッシング | マフィア物は、苦手なんですよ。僕にとってこの作品は、コーエン兄弟の作品の中で、最も取っつきにくい一本になってしまった。どーしてあの主人公が、マフィアのボスにあそこまで信用を得ることをできたのか、それが最後まで分からなかったんから・・・ | ★☆ |
| バートン・フィンク | ジョン・タトゥーロVSジョン・グッドマン。映像にこだわり続けてきたコーエン兄弟の第一期の集大成と呼ぶべき傑作だな。シュールなストーリーと映像だが、決して分かりにくくはない。同時期に公開され、同じく作家のインナーマインドを扱っているクローネンバーグの”裸のランチ”のような難解さは微塵もない。しっかりしたストーリーがあり、先の読めない展開で興味を誘ってくれる。ラストシーンの揺れる波、あの余韻が心地いいんだよなぁ〜。 | ★★★☆ |
| 未来は今 | コーエン兄弟の作品の中では、これが一番好き。なんでこれなん?って聞かれると辛いけど、この世界にはまってしまったと答えるしかない。幼さと純粋さ、すぐに周りの色に染まってしまうティム・ロビンスのナチュラルさ。厳しさと激しさ、自分の立場を把握しているようでしていない、激情型のジェニファー・ジェイソン・リー。そして、典型的な悪役を嬉々として演じるポール・ニューマン。コーエン兄弟流のアメリカン・ドリームだね。んでもって、心温まるファンタジー。で、この映画、最初から最後まで、様々な○によって彩られている。新聞に付いたコップの底の染みが、彼の運命を決めたし、彼が作ったのはフラフープ、時計台の大きな文字盤、天使の輪、口説き文句まで輪廻転生、そして最後はフリスビー(^^)折れ曲がるストローは○じゃないので却下!ま、なんだかんだ言っても、純粋に楽しめたって事です。 | ★★★★ |
| ファーゴ | 長いのでこちらへ | ★★★★ |
| ビッグ・リボウスキ | ファーゴに引き続き、またしても誘拐ネタ。今度は、ジェフ・ブリッジスが情けない腹をたるませて、これまた巨漢のジョン・グッドマン、そして、前作に引き続いて殺されてしまうスティーブ・ブシェミがこの奇妙な物語を紡ぎ上げる。コーエン兄弟の脚本、演出は前作のファーゴで完成の域に達していたが、今作では更に幻想的な雰囲気を加え、唯一無二の世界に踏み込んでいる。ボーリングがこれほどまでにポップでキッチュな素材になり得るなんて!ブシェミを巡るエピソードの数々は、珠玉のユーモアだ。ココから先、コーエン兄弟はどんな映像に向かうのか、非常に楽しみで仕方がない(^^) | ★★★☆ |
| ブラッド・シンプル・ザ・スリラー | 初めて見たのはもう10年以上前になるんだよな。当時はスタイリッシュなサスペンスというイメージが先行していたけど、今回改めてみると、こんなにユーモアに溢れた映画だったっけ?ってかなり驚かされた。コーエン兄弟のサスペンスは、後に”ファーゴ”と言う作品でそのスタイルを確立させるが、一作目のこの作品との共通するものは多い。事件の始まるきっかけはいつも非常に滑稽だ。浅はかな人間の考えが雪だるま式に膨れ上がり、気がつけば収拾がつかないくらい傷口が拡がっていく。ブラッドシンプル、血が流れる原因は単純なこと、そう言われているようだ。 | ★★★ |
| オー・ブラザー! | コーエン兄弟、オリジナルの最新作としては"ビッグ・リボウスキ"以来、実は4年ぶりなんだねー。久々の新作は、あのぶっ飛びコメディ"赤ちゃん泥棒"をも髣髴とさせるはちゃめちゃロードムービー。それにしても、何だこの脚本?!突飛な話は数あれど、ここまで突飛な話が幾つも練りこまれ、それが全て伏線として機能する映画があったか?現れては消え、消えては現れる3人の主人公の周りの奇妙な面々。一つずつのエピソードかと思いきや、いつの間にか合流してきて、最後は濁流に飲み込まれて流される。いやいや、全くコーエン兄弟の映画ってば、なんでこうのほほんと進んで、最後は怒涛のようなクライマックスになるかな?それに、彼らの映画って、全然泣けるような映画じゃないのに、何故かどこか一箇所だけ感動して泣いちゃうんだよなー。この映画も、終盤のライブシーンで思わず泣いてしまいました。コーエン兄弟、どれもこれもが最高傑作だけど、これもまた最高傑作(笑) 余談ながら、後日タワーレコードにてサントラを購入したところ、特典としてポラロイド撮影と書かれてあり、何かな?と思いつつも買うと、階段の踊り場に連れて行かれ、ティム・ブレイク・ネルソンの顔の部分だけ切り抜かれたでっかい立て看板に顔を入れさせられ、その場でポラロイド撮影されてしまいました。びっくり。 | ★★★★ |
| バーバー | 毎回言ってるけど、コーエン兄弟の映画にはそこはかとない哀愁が漂い続けている。今回の映画はいつもにも増してその哀愁度は高い。なんといっても、ビリー・ボブ・ソーントンなんて、しかめっ面の男が人生転がり落ちていくんだからたまらない。原題はThe man who was'nt there、そこにいない男。実際、ソーントン扮する散髪屋は、まるでそこにいないかのような影の薄さ。彼が犯した殺人でさえ、彼が犯したことにならず、実際には存在しない男のせいにされてしまう。ようやく見つけた生きがいも、いとも簡単に壊れてしまう。そして訪れた破局。しかし、それははじめて彼自身に向けられた裁きだった。その切なさ、痛さ、気味が悪いくらいだ。 といいつつも、いつものコーエン兄弟の映画ほど評価を高くしていない。なんて言うか、巧すぎて鼻につく。天邪鬼な意見なんだけど、脚本が余りに巧すぎて、演出にキレがありすぎて隙がない。この映画を見て、いろんなことを考える逃げ道がないんだよな。贅沢な話なんだけどね。ここまで凄い映画を見せ付けられておきながら・・・ | ★★☆ |
| ディボース・ショウ | コーエン兄弟が、初めてメジャーで撮ったんだよね、これって。確かに豪華な出演陣だ。でも、映像の作り方とか、テンポのよさとか、やっぱりコーエン兄弟だ!って思えるから凄いよなー。で、感想はと言うと非常に面白かった!二転三転するストーリーは、先が全然読めない。ここでこのキャラが絡んでくるんだ!とか、あの小道具が、こんなところで活きてくるんだ!とか、見ていて、単純に楽しめる。これで終わるはずはないよなー、でも、どんな展開をするんだろう?って思わせて、予想以上の展開を用意してくれてるんだもん、大したモンだよ。しかし、アメリカの離婚って多い上に、財産分与の問題とか、凄いんやね。訴訟大国だから、当然なんだろうけど、ホント、ここまでやられると、一体夫婦になるって何?って思っちゃうよな。そういう疑問を抱かせた上での、あのラストだから、余計に見終わった後に温かい気持ちになれるんだろうなぁ。メジャーに行って、こんなに豪華な出演者を使ってるにも関わらず、これだけ肩の力の抜けたコメディを作ってしまったコーエン兄弟に拍手! | ★★★ |
| ホネツギマン | コーエン兄弟の幻の脚本、奇跡の映画化!らしいけどさー、映画化しなくてよかったんちゃうの?!整体師として成功し、愛する妻にも恵まれた男。しかし彼には、人体模型のコスチュームを着て戦う覆面レスラーとしての顔もあった。整体師として断絶していた両親の家の向かいで開業することを機に、レスラーを辞め、整体師として暮らしていく決心をした矢先、悪徳業者によって、両親と妻が惨殺されてしまう。怒りと悲しみで我を失った彼は、ホネツギマンとして、仇を果たすべく、次々と殺人を重ねていくが・・・。いやね、関係ない人殺しすぎなんすよ。ホネツギマン(^^;やってること無茶苦茶すぎて、とても正義のヒーローとは思えない。ああ、ある意味これは出来損ないの「XYZマーダーズ」なのか。なるほどね。 | ★☆ |
| レディ・キラーズ | 未見 | |
| ノー・カントリー | 原題は「No Country For Old Men」なので直訳すると「年老いた者のための国は無い」なのかな。劇中でのトミー・リー・ジョーンズの台詞だけど、これがこの映画の根本的なテーマであり、それ以外は実は何も描いていないんだろうなぁ。一見すると、大金を拾って逃げる男と、それを追いかける冷徹な殺し屋のサスペンスのように見えるけど、彼らの逃げて追った跡をたどっていくトミー・リー・ジョーンズが本当の主役なんだろうな。
とにかく、逃げる男と追う殺人鬼、この二人の行動の予測が全くつかない。サスペンスの定石というか、この映画の時代の前の単純な話だと、ここはこうなって、こうなるはずだから、きっとこんな結末が待っているのだろう、なんて想像がつく。だけど、物語はその通りに進まない。時には肩透かしを喰らい、時には余りに唐突な展開に驚き、惑わされる。トミー・リー・ジョーンズが感じていた通りの気持ちを観客も同じように感じてしまう。この国(世界)は変わってしまった。最早、これまでの経験など役に立たないくらい、犯罪は多様化し、犯罪者の心理は想像を遥かに超える領域にまで達してしまっている。原作どおりに映画化したということだけど、そういった時代の移り変わりを描いているという点で、凡百のアクション・サスペンスとは全く異なる。生き残ると思われた者が呆気なく殺されたり、死ぬと思われた者が生き残ったり。もちろん、この予測の裏切りは、すべてハビエル・バルデム演じる映画史上に残る異常な殺し屋があってのことで、映画全編にわたって漂い続ける緊張感、焦燥感は、すべて彼がかもし出す存在感によるものだ。正体不明の殺人鬼が、いつ襲ってくるか分からない不安感。今を生きる全ての人々が、いつ同じような恐怖に巻き込まれるか分からない。劇中、BGMはほとんどなく、コーエン兄弟による計算し尽くされた映像と、役者達の見事な演技のみで、2時間を超える上映時間、ずっと集中し続けて見ることが出来る。サスペンスという以上にドラマ的な要素が強く、一度見ただけでは、到底、理解できないほど複雑な要素を孕んでいる映画に見えるけど、実は言いたい事はタイトルの意味どおりのことだけなのかもね。 | ★★★★ |
| バーン・アフター・リーディング | コーエン兄弟監督のコメディタッチの作品といえば、「ディボース・ショウ」や「レディ・キラーズ」、古いところでは「赤ちゃん泥棒」「未来は今」などがあるけれど、これは、それらどれにも似ていない、スタイリッシュさの欠片もない、めっちゃブラックでおバカな群像劇。まるで、パンクしたボロボロの車に乗せられて、しかもガス欠直前で、がっくんがっくん言わせながら、山道をなんとか走ってるのに目の前は崖、みたいな気分。とにかく、登場人物全員が、間違った方向へ進み続け、接点なんてこれっぽっちもなかったのに、偶然が偶然を呼んで、いつの間にか、みんな人生誤っちゃった。なので、観終わった後の感想は、しょうがねぇなぁ〜、の一言。彼らの行動からは何の教訓も得られないし、共感も出来ない。特にブラッド・ピットが、これまでのイメージをかなぐり捨てるかのような間抜けな筋肉バカを演じてるんですが、えらい事になっちゃってます。自分は見る順番が逆になっちゃったけど、「ベンジャミン・バトン」の後に、これを見たら、そのあまりの落差についていけないのでは?ブラッド・ピットとジョージ・クルーニーが共演(といっても、同じ画面に映るのは1シーンだけですが)、他にも、ジョン・マルコヴィッチ、ティルダ・スウィントン、フランシス・マクドーマンドと、超豪華キャストで、監督はコーエン兄弟と、話題になることは必至。このブラックさを、日本人が受け入れられるかどうかが心配だけどね(^^; | ★★ |