ブレイン・デッド

-血塗れの自立と愛の物が祟り-



映画史上、最も血糊の多く、タブーを突き破った映画。
幼児虐待、神父殺し、親殺し、そしてラスト30分、画面が一面真っ赤に染まり続ける大量虐殺。
しかし、この映画は気持ち悪さを突き抜けた爽快感さえ漂う、稀に見る傑作である。
それは、この映画が、実は”母親からの自立”をテーマに描いた家族の物語だからであろう・・・
   
この映画の主人公ライオネル君は、いつまでたっても母親の元から離れられないでいるマザコン青年だ。
ま、正確に言うと、母親が自立させてくれないのだが。
そんな親子の関係を脅かすかのように現れたのが、ラテンの魅力溢れるパキータ嬢。
パキータのおばあちゃんの占いで、ライオネル君は運命の人になってしまい、
彼女から執拗に迫られる。しかし、それを観た母親、二人のデートにまで尾行してくる。
で、立ち寄った動物園で、母親は黒魔術にも使われる奇獣”ラットモンキー”に噛まれてしまう。
その毒が、彼女を不死身のゾンビに変えてしまい、ライオネル君の血にまみれた苦悩の日々が始まる・・・
   
ゾンビと化してしまった母親を献身的に看護するライオネル君。
しかし、病状を見に来た看護婦、神父、彼女の毒牙にかかって次々とゾンビは増えていく。
それでも彼は、母親の言いつけ通り、ゾンビと化してしまった人々を匿い、世話を続ける。
母親に、一生世話をするよと誓ったからであり、彼女いなくては彼は存在できないと思っているのである
だから、母親がいくらゾンビになろうと、それは守るべき存在であり、自らのアイデンティティそのものでもあるのだ。
   
対して母親。彼女は、昔、浮気した夫を、浮気相手もろとも風呂に沈めて殺している。
恐らく、彼女の夫は、彼女を裏切り、彼女の征服下から離れていこうとしたのだろう。
そして殺され、その征服欲は、彼女の息子へと一点集中した。
ライオネル君は、母親に洗脳されているのだ。
    
その関係に終止符を打たせる存在、それがパキータだ。
彼女は言う。もう、これはあなたの母親じゃない、と。
それまで妄信的に母親を匿ってきたライオネル君、ようやく間違いに気付き、
母親を葬ろうとする。が、母親はそれを許そうとせず、血と殺戮の大惨劇が始まるのだ・・・
母と子の最後の対決、怪物と化した母は、自らの子宮に息子を戻そうとする。
しかし、パキータから貰ったお守りが彼を救う。
彼はようやく自らの意志で、人生を歩き始めたのだ。


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